パックラフトのメリット・デメリット
パックラフトにおけるメリットは、ほとんど同時にデメリットであることが多い。例えば、「軽い・小さく畳める」というメリットは、薄い生地を使用することで実現されているので、それはそのまま「耐久性が低い」というデメリットにつながる。
これと同様に、パックラフトの操作の簡単さは、初心者が、先導してくれる熟練者の後を追うことを可能にしてくれますが、同時に、初心者に、パックラフトは自力でできるものだと勘違いさせてしまう恐れがあリます。これが大きな罠で、近年、日本各地の河川でパックラフトの事故が少なからず報告されています。これらの事故の多くは、圧倒的経験不足から生じていると推察します。
ダウンリバー(川下り)への道
川の知識(流れを読んだり危険箇所について知ること)は、経験と共に蓄積されていくもので、今の自分が自力でこの川を下れるかどうかを判断できるようになるまでには長い年月を要します。それまでは熟練者のサポートなしで急流下りをしてはいけません。自力で下れるというのは、単に落水や転覆せずにゴールすることできるということではなく、危険を予測しそれに備えることができ、落水や転覆しても自力で対処することできるということを意味します。
例えば、落差のある落ち込みや急カーブで前方の様子が見えない時は、手前のエディー(安全な淀み)にボートを止めて、スカウティング(観察)する必要があるかもしれません。どのエディーなら安全にボートを止められるか判断できますか?その先にある急流をスカウティングしたとして、自分にその急流を下る技量があるか判断できますか?この判断を誤ると、狙い通りのライン取りができずに転覆し、ボートを流してしまうかも知れません。その場合、泳いで安全な岸にたどり着けますか?パドルもボートも流されてしまった後、その場所からエスケープする術を知っていますか?これらのイメージができるようになって、初めて自力で下れるという判断につながります。


