カウテールは必要か

PFDとカウテール パックラフト入門

カウテールとは、牽引ロープのようなもの。一緒に川下りをしている仲間が落水し、ボートと離れ離れになった場合など、空のボートを追ってカウテールで繋ぎ、落水者の元へ牽引したり、岸に寄せたりするのに使用する。

カウテールが必要ない場合

もしも、一緒に下る仲間が自分よりも上級者ばかりで、自分がレスキュアー(救助する側)に回る可能性が極めて低いならば、カウテールは必要はないだろう。特に、落水や転覆が当たり前の岩がらみのタイトな川や、倒木の多い川であれば、身のまわりは極力シンプルにしておきたい。セルフレスキューだけを考えるならば、余計なものは身につけない方が良い。身につけるものの数が増えれば増えるほど、何かにひっかかり、捕われてしまう危険性は高まる。

カウテールを装備する際の注意点

カウテールを装備するには、クイックリリースベルト付PFDが必要になるが、クイックリリース付PFDであれば、カウテールの先のカラビナをフックしておくためのDリングのようなものが装備されているはずだ。このDリングはプラスチック製の物が多く、意図的に強度が限定されており、さらに多くのモデルでは、あらかじめ切り込みの入っているものが多い。これは、カウテールに強いテンションがかかった際、カラビナが自動的に外れやすくするための設計だ。切り込みがない場合は、自分でカットして、軽くテープを巻いておくと良い(テンションがかかっていない状態で不用意に外れるのを防ぐため)。

NRS VECTOR PFD Dリング

クイックリリースベルトについて

カウテールで牽引している空ボートが岩や倒木に引っかかってしまったらどうするか。空ボートが引っかかり強いテンションがかかった場合は、カムバックルのリリースノブを引っ張って、カウテールをリリースする必要があるが、この一連の動作は、訓練していなければ反射的には行えない。頭で理解していたとしても、実際に流水の中で即座に実行するのは難しい。カウテールを使用するのであれば、クイックリリース操作は身体で覚えておく必要がある。

クイックリリースベルトの着用方法

クイックリリースベルトの着用方法は3通りある。

1.直接カムバックルに通す。

クイックリリースベルト1

2.ラダーロックに一度だけ通してからカムバックルに通す。

クイックリリースベルト2

3.ラダーロックに二度通してからカムバックルに通す。

クイックリリースベルト3

ただし、メーカーは3番目の着用方法のみを正式な着用方法としているので、1や2の方法を採用する場合は、個人で十分試した上で判断してほしい。

1→2→3 の順に摩擦は増える。摩擦が増えるほどカムバックルは外れにくくなる。PFDのモデルによっても差があるので、必ず自身のPFDで試してほしい。試さずに実践使用して、リリースノブを引っ張ってもリリースされなかった、という状況は絶対に避けなければならない。

クイックリリースベルトは必要か

カウテール以前に、クイックリリースベルト付PFDは必要かという議論もできるが、これについても、クイックリリースベルト付PFDを使用するのであれば、ライブベイトレスキューなど、実際の使用を想定したレスキュー技術を学び、訓練しておく必要がある。

カウテールが必要な場合

クイックリリースベルトにしても、カウテールにしても、パックラフト再乗艇においては邪魔物でしかない。

私がカウテールを装着するのは、ガイドとして、あるいはそれに近い役回りでゲストや初心者を案内し、彼らの落水や転覆を前提として川を下る場合だ。安全に牽引できる場面ではもちろん牽引するために使用する。

牽引以外の使用法

自分以外にもレスキュアーがいて、すでにその人が空のボートを追っている場合、自分はさらに下流へ回り、岸からバックアップに入る場合がある。

必ずしも安定したエディがあるとは限らないため、岸際の浅瀬まで漕ぎ着けて上陸することもある。その際、自分のボートをカウテールに繋いでおくことで、ボートの流失を防ぎ、両手を使って確実に回収体勢を取ることができる。

空のボートを岸に寄せる際、カウテールで牽引するのではなく、自分のボートでつつくようにコントロールしながら寄せていく場面も多い。しかしこの方法では完全に止めきれず、そのまま緩やかに流され続けてしまうことも少なくない。

こうした場合、あらかじめ下流で待機し、岸際の浅瀬に立った状態でボートを直接掴むことができれば、確実かつ迅速に回収することが可能になる。

このような場面では、カウテールは自分のボートを確実に保持し、レスキューに集中するための有効なアイテムとなる。